2012年12月3日月曜日

デジカメの耐えられない軽さ

昨日から、勝又邦彦さんの初期作品を少しずつUPしている。
もちろん、フィルム写真でプリントされたものだ。

勝又さんに写真を見せてもらったのは90年代の後半のことだが、その頃は夜間で長時間露光で都市と自然の拮抗する風景を撮影していた。
そのバランスは危うく脆いながら、長時間露光によってもたらされた重層性のある艶かしい色合いに惹かれたものだ。
同時に、移動するものは存在の痕跡を残しておらず、そこにある土地や物だけがくっきりとその存在感を露にしているという感覚を覚えた。

改めて写真を見ても、やはりデジカメで撮影した写真とは決定的な違いを受ける。
その差は、そこに物質的なバックボーンが薄いからなのかもしれない。マテリアルが強調される勝又さんの写真には、長時間露光によってたっぷリ夜の光が何層にも定着されており、さらに銀塩プリントに転写されている。
そこには確かに物質を経由した痕跡が残っている。

一枚のデジタル画像になったとしても、それをはっきりと認識できることがデジカメの画像との印象の違いだろう。言うなれば、何時間も煮込んだ出汁のラーメンと、インスタントラーメンの違いと似たようなものだろうか?

デジカメ全盛期において、フィルム写真家はどんどん少なくなるが、フィルム写真は、かつての版画のように、メディアの第一線を譲って、アート作品として残っていくだろう。(三)


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